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for TRANSLUCENT TRANQUILIZER by Tomoko N.

光る結晶体の深呼吸

-明るくなり方、暗くなり方-

テクニカル・サポート 塚越藤司

 光の増減は自然対数曲線に従っておこなわれています。
 自然対数曲線は、エクスポネンシャル・カーヴとも呼ばれていて、 自然界の物理現象を書き表すのにとても便利な曲線です。
 たとえば、一定の速度で流れている水路の中に、そっと置かれた 金属球が徐々に速度を上げ、やがて水流に追いついてゆく様子や、 密閉容器の中に閉じこめられていた空気が抜けてゆくときの、圧力 の下がり方などを想像していただくとよいでしょう。
 自然対数曲線で駆動される"Tranquilizer"の光が、ちょうど私た ちの体感とよく合った感じがするのは、私たちの体の中でもまた、 自然対数曲線で書き表すことができるような物理現象が、数多く起 きているからではないでしょうか。

その周期

   光の増減のリズムは、人の正常呼吸の、約1/3から1/4と長い 周期になっています。これはTranquilizer(鎮静剤)という名が 示すように、神経の鎮静効果を期待しているためです。  また、このリズムを作り出すのには、アナログ的な手法が用いら れています。
 高価であることや正確さに欠けることで、今では忘れられた感の あるアナログ回路なのですが、温度や湿度や電源の状態などに影響 されて微妙に変化するアナログのリズムは、静謐でありながら、ど こか曖昧のある二宮知子の作品にふさわしいと思い、あえて採用し ました。
■つかごし とうじ(エンジニア)■

□photo by Touji TSUKAGOSHI
TTTs in Tomoko's studio
© 1999 Touji Tsukagoshi

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